2007年07月30日

070306:「to」と「with」

■このブログは、私(山崎)が清山会医療福祉グループの役職者向けメーリングリストに投稿した原稿の一部を配信するものです。

お疲れさまです。山崎です。清山会MLから送信します。
Talk with, not to patients.(患者「に」話すのではなく、患者「と」話すこと。)これは、ドクターズルール425(南江堂)の276番目に挙げられているルールです。・・・・

10年くらい前に買った薄手の本ですが、昨日、たまたま読み返していて見つけました。図らずも、例のキャッチフレーズに通じます。「その人【に】」ではなく、「その人【と】なにができるか」。リニューアルした清山会のホームページにも、この文章を入れさせていただきました。


私たちは99年に木造二階建ての地味なデイケア診療所(いずみの杜診療所)で仕事をはじめました。その後、いくつものありがたい縁に支えられながら、これまで営業させていただいております。

20年近く前、心ならずも老人病院や精神病院で暮らす人たちの現実に、医師になりたての私は、やり切れない気持ちになりました。医療というまなざしに保護されつつ射すくめられながら、支配されて暮らす人たちの深い孤独を感じたからです。今にして思えば、そこに暮らす人も、そこで働く人も、なりふりかまわぬ時代の狭間に忘れられ、翻弄されるしかなかったのかも知れません。

最近は高齢化に後押しされて介護保険制度が創設され、高齢者や障がい者の医療を、介護が覆うようになりました。けれども介護のまなざしは、相変わらず支配から自由ではないように思います。支配の本質は、その人に見えない高みから、その人を見下ろすことにあります。「その人らしさ」の強調も、その人と私との「自分たちらしさ」に目を向けない限り、見下ろすケアから自由ではありません。「その人に、なにができるか」ではなく、「その人と、なにができるか」という視点を大切にしたいものです。

私たちは、「関わりを大切にした自立と共生の支援」を理念にしています。人との関わり、街との関わり、自然との関わりに安堵したとき、孤独はようやく癒されるのではないか。そこに暮らす人も、そこで働く人も、支配から自由になって、今、ここでの関わりを自在に楽しむことはできないものか。 ケアという関わりを通して、一人でも多くの方々との出会いを、これからも重ねていきたいと願っています。どうぞ宜しくお願いいたします。

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Posted by 清山会スタッフ at 10:21│Comments(0)清山会メーリングリスト
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